介護保険制度が施行されて25年。
今では当たり前となった「福祉用具レンタル」ですが、その始まりは、1980年代の一本の電話からでした。
「亡くなった親が使っていたベッドを引き取ってほしい」──
その声に応えたのは、当時フランスベッド販売の社長だった池田茂。
池田は「売るより、貸す方が喜ばれる」と直感し、製品の“使った後”にまで目を向けた新しい価値提供のかたちを模索し始めます。
この一言が、日本初の福祉用具レンタル事業の原点となりました。
フランスベッド株式会社 代表取締役社長 池田 茂
当時の日本では、介護は施設で行うものという常識がありました。
「家庭に病院用ベッドを届けるなんて非常識だ」──社内でも懐疑的な声が上がる中、池田はアメリカで確立されていたレンタルモデルに着目。
「日本でも、必要とされるはずだ」と確信し、前例のない挑戦に踏み出します。
この取り組みは、やがて現在のフランスベッドの事業方針へと発展。
製品を“売る”だけでなく、“貸す”ことで生活者の困りごとに寄り添うという考え方が、企業の根幹に据えられていきました。
フランスベッド販売株式会社 社長時代の池田茂(写真中央)
その後、ある自治体の福祉担当部署から、福祉用具の提供に関する相談が寄せられます。
地域の福祉向上を目的とした取り組みの一環として、フランスベッドとの連携が始まり、結果的に、市民がベッドや車いすを無償で利用できる仕組みが整備されました。
この動きは、いわゆる「措置制度」と呼ばれる行政主導の福祉支援の一形態として展開され、後の介護保険制度の設計にも影響を与えることになります。
福祉用具提供に関する相談のあった自治体(当時)
1997年に介護保険法が制定され、2000年には制度が施行。福祉用具レンタルは保険適用となり、利用者がサービスを選べる仕組みへと進化しました。
しかし、価格競争が激化し、サービス品質の低下という課題も浮上。
そんな中でもフランスベッドは「価格ではなく、安心を届ける」姿勢を貫き、制度施行後には利用者数も業績も回復しました。
1983年の療養ベッドから始まり、2020年には離床支援マルチポジションベッドまで。
フランスベッドの製品開発は、常に「お困りごと」に寄り添う姿勢から生まれています。
単なる機能性ではなく、「使う人の暮らしにどう寄り添えるか」を問い続ける──それが、福祉用具レンタルの本質であり、フランスベッドのものづくりの原点です。
1983年の療養ベッド
福祉用具レンタルが社会インフラとなった今、その原点には「人の困りごとに応える」という企業の使命があります。
フランスベッドはこれからも、暮らしに寄り添うものづくりを続けていきます。